私にとって名鉄は思い入れの深い鉄道だ。前回の東京オリンピックの直前、18歳のときに生まれ故郷の福井県を出て名古屋で暮らし始め、手に入れたカメラで本格的に鉄道写真を撮り始めたのが名鉄だったから、鉄道写真家としての「原点」といえる。 今でもよく覚えているが、最初に撮ったのは「なまず」と呼ばれた流線形の850系だった。当時下宿していた親戚の家は常滑線の大同町駅が最寄りで、写真はなくなってしまったものの、駅で撮影したときのことは今も鮮明に記憶している。 それ以来、名古屋を離れて東京に移り、プロの写真家となった後も取材で訪れたり、ほかの取材の行きがけに寄ったりと、事あるごとに撮影を続けてきた。今回は、主に昭和40~50年代の写真を中心に当時の記憶をたどりながら、かつての名鉄を振り返ってみたい。 名鉄といえばパノラマ 数ある名鉄車両の中でも、いちばん思い出深いのはやはり「パノラマカー」7000系だ。運
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