会社ではときに、悪事を共にすることで絆が生まれ、それを難ずる者を排除していくことで、悪の連帯はより深まり、組織ごと腐っていく。そこには会社員の習性があり、抗う者に理不尽が待ち受ける組織の不条理がある。 それらを描いた“企業もの”ノンフィクション作品から「腐敗の実像」を紹介する。 詐欺取引から撤退するチャンスが9回はあった 「幹部はこう言っていた。『上が止まらないんだよ』と」 史上最大の地面師事件といわれる東京・五反田の旅館「海喜館」跡地をめぐる詐欺事件が発覚したのは2017年のこと。積水ハウスがマンション用地として土地の売買契約を結び、カネを振り込んだ相手はニセ地主だった。 藤岡雅『保身――積水ハウス、クーデターの深層』(KADOKAWA、2021年)は騙された側の内部を取材したノンフィクションだ。なぜ彼らは地面師と取引してしまったのか。それを解き明かす糸口になるのが、本書に出てくる、冒頭
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