チンプイこと藤原章監督の映画『ラッパー慕情』をビデオで観た。 2004年度のベストに入るだろう傑作だった。 室内シーンの撮影に失敗しているので、映画の前半は真っ暗で何が画面に映っているのかわからない。しかも編集が舌足らずなので、シーンのつなぎを想像で補わないとならない。最初の数分を観ただけで99.9999パーセントの人は見続ける気をなくすだろう。オイラもそうだった。 でも、それを乗り越えると、あとはぐいぐい映画に引きずり込まれていく。 どういう映画なのか、わかりやすく説明すれば、 古谷実の『僕といっしょ』の世界である。 藤原監督は「オレは『僕といっしょ』が書かれる十年も前からこれやってきた」と怒るだろうけど。 主人公のケンはマンガ家志望の男。30過ぎて無職で、親が経営するアパートの家賃を取り立てるだけが仕事だが、その家賃も踏み倒されている。 兄もいい年こいて老いた母親から「まーくん」と呼ば