『古今桃色草紙』第一巻第二号(発藻堂、一九二八年八月一日)。これは納涼で某書店から買ったものだが、昨日届いた『股旅堂古書目録』2号に九冊まとめて載っていたので思い出した。この目録、風俗中心だが、なかなかのもの。大阪の新大和屋少女連の写真帖など、すごいなあ。 『古今桃色草紙』創刊号は発禁になったそうだ。《創刊号は最善の注意を払つたが、店頭に出る早々禁止になつたので、今月は止むを得ず幾らか調子を下げた》。たしかにあまりエロ味はない。斎藤昌三、五十沢二郎、石角春之助らが寄稿している。マゾッホの飜訳もある。なかでは綿谷摩耶火の「俳諧キツス考其他」に注意をひかれた。江戸川柳におけるキッスを拾っている。 《「キツス」の事を「口を吸ふ」と言ふのが彼等の常套なのであつた。其れ故、『道中双六』に 「えゝ、あれ、口中をちぎりをる、こりやもう堪忍ならぬ」 といふ文中の「口を契る」といふ語の如きは、実に稀れなる用
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