岩波書店の「星の王子さま」旧版に掲載された挿絵が、サンテックスが描いたものとは異なったものであったことは、「星の王子さま」ファンならもうご存じでしょう。日本では、岩波書店が「オリジナル版 *」を出版したため、広く知られるところとなりました。 * 「オリジナル版」。 この呼び方に私は賛成できません。「岩波書店独自の版」という意味になってしまいます。実際はガリマール社修正版のデッドコピーなのですから、「レイナルヒチコック版」(もしくは「純正挿絵版」)というべきでしょう。【「オリジナル版」という呼び方は、岩波書店だけのものです。ガリマール社は「オリジナル版」という言葉を使っておりません。それは当然でしょう。1999年以降出版される“Le Petit Prince”にはすべてレイナル・ヒチコック社の「純正挿絵」が使われるのですから、特定の版だけを示す名称としてこの言葉を使ってしまっては、混乱をもた