山白朝子さん(いまだに乙一、と呟いてしまう)の短編集「私の頭が正常であったなら」を読みました。 喪われた人を想う短編集、と言ったらいいのでしょうか。 読みながらずっと、死と私を隔てるものについて考えていました。 冒頭の『世界で一番短い小説』は、ある日突然見知らぬ幽霊を見るようになってしまった夫婦の物語。 唐突に姿を見せる、見知らぬ中年男の幽霊。 理系の夫妻は彼の出現パターンを調べ、心霊現象の再発防止を図るのだが…。 あらすじはこんな感じ。 お祓いや神頼みではなく表計算ソフトで幽霊の出現パターンをリスト化、自分達の行動と照らし合わせて幽霊に取り憑かれたのはいつか?と調査していく過程がコミカルで面白い。 そうしてラストにふっと紛れ込む、喪われた者を愛おしむ気持ち。 魂はどこに宿るのか?私たちがお墓参りをしたり、死者を悼んだりするのは、喪われた人たちに側にいて欲しい、見ていてほしいという願いが込