1991年の「大河ドラマ・太平記」は、放送当時、 中世史に関心を持つ人々の間で、かなり話題になった。 あえて、難しい時代を正面から扱い、 しかも、最新の中世史研究の成果を映像化したからである。 それは、装束、風俗、所作、セットなどの、 細かな部分までに及んでいるもので、 知っている人が見ると、「おお!」という場面もあった。 その中で、筆者が「おお!」と思ったのが、 主人公の足利尊氏が、都ではじめて、 後醍醐天皇や側近の僧文観たちと出会うシーンだった。 何者か判らぬ闖入者である、若き尊氏と出くわして、 彼らは、一斉に扇を広げて顔を隠し、 扇の骨の間から尊氏を窺がう「しぐさ」をみせる。 中世の絵巻物によく登場する「しぐさ」を、 はじめて、映像化して見せたのだ。 この「しぐさ」は、中世の人々とって、 やはり、特別な意味があったようだ。 上の写真は、今まさに罪人に刑が、 執行されようとするところを
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