県埋蔵文化財センター(長野市)は19日、佐久市長土呂の西近津(にしちかつ)遺跡群の出土物から、「美濃国」と刻印された奈良時代の須恵器の破片が見つかったと発表した。「美濃国」の刻印がある須恵器は岐阜県や大阪府など6府県の計55地点(今回を含む)で確認されているが、今回の須恵器は生産窯とされる老洞(おいぼら)古窯跡(こようせき)(岐阜市)から最も北東に位置する。同センターは「美濃国と信濃国など当時の国々の交流や、滋賀県と福島県を結んだ東山道のルートを考える上で貴重な発見」としている。 同センターによると、これまでに県内では飯田市など3市の6遺跡で出土していた。今回の発見は東北信地方では初めて。6府県の中ではこれまで、松本市での出土が北限、岡谷市が東限だった。 破片は縦5・6センチ、横7センチ、厚さ1センチで重さ37・5グラム。上部に「濃」の文字と「美」の下端、「国」の右側を表すくぼみがある