ユネスコ世界記録遺産としても登載された世界最古の金属活字本「直指」(白雲和尙抄録仏祖直指心体要節)。1377年、清州興徳寺で印刷された「直指」はグーテンベルクの金属活字より80年ほど早い。「南明泉和尚頌証道歌」(以下頌証道歌)はこの地で「直指」に先立ってすでに金属活字を使っていたことを立証する記録です。 禅宗の指針書である 「頌証道歌」に高麗南明禅師法泉が解題をつけて発行したこの本には 「高麗高宗26年(1239年)金属活字本を重ねて刻む」と書かれています。1239年以前に、すでに金属活字本で印刷した本を後代に木版で修復したという意味です。 当代最高の技術者たちが木版本として復活させた「頌証道歌」は、金属活字の特性をよく見せてくれています。文字の形がややくねっていて、字の下の画と上の画が互いに触れたりかみあったりするものがありません。高麗が西洋より少なくとも200年以上前には金属活字があっ