形質人類学や遺伝子研究技術が発達するまでは、言語文字資料によって古代人種とその分布情況を推測してきた。西域出土の簡牘により、新疆の古代住民はサカ語とトカラ語の二つの大きなグループに分けられることが判明した。彼らはともにインド・ヨーロッパ語族に属する。驚くべきことに、トカラ語は意外にもインド・ヨーロッパ語族の西方群に近く、恐らく最古のインド・ヨーロッパ語の1つであることを示している。そのため、原始インド・ヨーロッパ人の足跡をタリム盆地に求めようとする研究者もいるほどである。 欧米学術界には歴史比較言語学の長い伝統があり、近代以来、S・レヴィ(S. Lévi)、T・バロー(T. Burrow)、H. W.ベイリー(H. W. Bailey)、W.B.ヘニング(W.B. Henning)などに代表される中央アジアの死言語と文字研究の大家を輩出してきた。中国では、季羨林、蒋忠新、林梅村、段晴などの