令和への改元にちなみ、府中市郷土の森博物館(南町)は、元号に関する二つの企画展を開いている。公年号とは異なる私年号(しねんごう)を取り上げた「中世東国と改元」展と、天文と年号のかかわりを紹介した「古代の改元と天文」展。どちらも二十七日まで。 (松村裕子) 博物館などによると、改元は、江戸時代までは天変地異や飢饉(ききん)があったときに世の中をリセットする意味があり、私年号は改元されないときに改元を望む民衆の中で流布された新年号。戦乱が続いた中世、年号を決める朝廷から離れた東国で、多くはデマと判明するまで短期間使われたという。 約四十ある中世の私年号のうち最も使われたのは延徳(えんとく)三(一四九一)年に広まった「福徳(ふくとく)」。福徳と刻んだ板碑(いたび)(石の供養塔)は福島、山梨県も含む広い範囲に七十基以上残り、市内にも二基あった。