仕事をして、家に帰る。二月は寒いのでほとんど出かけない。食事をして、お酒を呑み、テレビなんぞ見ながら笑い合あう。皿を洗い、風呂に入り、ベッドに潜り込み、すこしだけ本を読み、眠る。 連休が終わりの憂鬱なはずの週明けだが、なぜかそれすらも感じない。いつからか、仕事さえもそうは感じなくなっている。なぜだろう。仕事が好きになったのか。否。答えは簡単。時間がすぐに過ぎるからだ。 子どもの頃に感じた、あの無限に続くように長く感じる時間はどこにいったのだろうか。 歳を重ねると時間が早く感じるのは、分母が大きくなるからどんどん分子は小さくなるという考えかたがあるらしい。つまり一歳の頃の分母は1で、たとえば“10”という概念での時間は、1ぶんの“10”と分母よりも十倍も大きいが、10歳だと10ぶんの“10”となり、数値は同等となる。だから、30、40、50、60歳と分母が大きくなれば、言わずもがな“10”と