以前、友だちから、こんな怪談話を聞いたことがある。 「子どもの頃、親と一緒に『となりのトトロ』を観に行ったんだよ。 そのころ映画を観に行くなんてさ、楽しくワクワクしに行くに決まってんじゃん。 そしたらさ、同時上映が『火垂るの墓』でさ」 友だちは、『火垂るの墓』のあまりの悲惨な戦争映画っぷり、そして悲惨な戦争映画としての大名作っぷりに大変なショックを受け、それからというもの、寝つきが悪くなってしまったという。 僕は恐怖した。この世にそんな罠が潜んでいるなんて! 可哀想な話が三度の下痢より苦手な僕は、火垂るの墓の監督である「高畑勲」という人の名前を心に刻み、決して不用意にこの人のアニメは見まい、と、堅く誓ったのであった。 しかし。 このたび『かぐや姫の物語』を観て(ご招待ありがとうございます)、僕の中の高畑勲トラウマは消えた。 ハッキリいって僕はこのアニメに心を打たれた。これ最高じゃないですか