違和感の第一は、「表現の自由」という言葉。朴裕河の著書を名誉棄損とすることは、「歴史の解釈や表現をめぐる学問の自由」の侵害に当たるのか。 例えば「慰安婦と日本軍は基本的に同志的関係にあった」という表現。「同志」という言葉を辞書で引くと、「主義・主張を同じくすること。また、そういう仲間。同じ志の人」とある。 <慰安婦>が侵略戦争を実行した日本軍と、どんな主義・主張を共有したのだと言うのか。仮に結果的にそういう(性的サービスを提供することで侵略戦争に加担する)構造に<慰安婦>が置かれたとしても、それを「同志」と規定することがどれほど当事者を侮辱し、傷つける行為なのか。日本文学を専攻する朴裕河がこの言葉の暴力性に気づかないはずはない。彼女は、そのことを知っているがゆえに、「~的」(それそのものではないが、それに似た性質を持っていることを表す)という接尾辞を付けることで、言葉の暴力性を薄めるレトリ