「あきらめたらそこで試合終了ですよ」──これは「スラムダンク」に登場するあまりにも有名なセリフで、読むだけでシーンが思い浮かぶ人も多いはずだ。裏を返せば、諦めない限り勝負の行方はわからないということだが、これは事業開発にも当てはまる。 今回話を聞いたのは、Mpraeso合同会社CEOの田口 愛。田口は、19歳のときに単身ガーナに渡り、その後4年がかりで高品質のカカオを日本に輸出するビジネスを開始した。ガーナのカカオ産業を変えるため、カカオ農家だけでなく政府にも働きかけ、大手商社が長年成し遂げられなかった改革を起こそうとしている人物だ。 心の支え、チョコレート 幼い頃から、田口にとってチョコレートは特別な存在だった。3、4歳のころ、家に遊びに行く度に曽祖父が「よく来たね」と言ってチョコレートをくれた。それは金の紙に包まれ、まるで宝石のようだった。田口はそれを何カ月も大切にとっておき、発表会の