『さよなら未来――エディターズ・クロニクル2010-2017』刊行に寄せて、著者の若林恵さんがWEB岩波「たねをまく」に書きおろしてくださったエッセイです。 未来は静けさのなかに 若林恵 コモンズということばには「入会地」「共有地」という日本語があてられるが、もっとひらたいことばでいうと「みんなのもの」ということになる。お爺さんが芝刈りに行くときの山はコモンズだし、お婆さんが洗濯に行くところの川もまたコモンズだ。現代の日常に即していえば公園などもそれに当たるはずだ。公共空間という概念と重なってはいるけれどニュアンスも射程もちょっと違う。コモンズは、なにも物理的な空間だけを指し示すものではないし、もっとひそやかで微妙なものを包合している。たとえば、イヴァン・イリイチという思想家・歴史家の文章には「Silence is a commons」という文章があって、「静けさはみんなのもの」という素敵
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