世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティによる好評連載。今月はウクライナへ侵攻しようとするロシアに対する欧米諸国の制裁措置の問題点について。 ロシアのような国家にはどのような制裁を科せば効果が出るのか──。ウクライナ危機がきっかけで、そんな古い議論が再燃している。 結論から言ってしまおう。そろそろ新しいタイプの制裁を考案すべきときが来ている。問題になっている国家体制の恩恵を受けて裕福になったオリガルヒに対して制裁を集中的に科すべきなのだ。 そのためにまず作るべきは、金融資産を登録する国際的な台帳だ。西洋諸国の富豪たちは当然、嫌がるに違いない。それは彼らが、世間で言われているよりもはるかにロシアや中国のオリガルヒと利害をともにしているからだ。 とはいえ西洋諸国が政治と道徳の両面で戦いに勝ちたいのであれば、これは支払うべき代償だ。これをしな
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