◆取材・文:加藤俊 /撮影:早坂義徳 会社は誰のものなのか。アメリカ流のコーポレート・ガバナンス理論が浸透し、ROE(株主資本利益率)やROI(投資効率)といった指標を過度に重視する経営が、日本でも一般的になりつつある。それに伴い、「会社は株主のモノ」と言い切る人が増えている。 かつて松下幸之助は、「企業は社会の公器」と看破した。今は、そうした古き良き日本の経営観が変わる端境期なのかもしれない。だとすれば、松下幸之助やオムロンの立石一真など社会貢献を意識した経営の在り方は、後世では如何に評価されるのだろうか。 しかし案ずることなかれ。この流れに歯止めをかける考え方が“日本発”で提唱されているのだ。名を『▶公益資本主義』。提唱者は原丈人氏。実業家や考古学者、ベンチャーキャピタリストといった多彩な顔を持っている方だ。どれだけ多彩か、肩書きだけ並べても国連政府間機関特命全権大使、アメリカ共和党ビ