2007年、「データ装備費」などの名目で、派遣労働者の賃金から使途不明金を天引きしていた人材派遣業界最大手「グッドウィル」のやり口が社会問題と化し、市場からの退場を余儀なくされてから8年……。いま再び、その人材派遣業界が拡大に転じていることをご存じだろうか。今国会には労働者派遣法の改正案が提出されており、議論の行方に注目が集まっている。そこで本稿では、自らの派遣体験をもとに最新刊『中高年ブラック派遣――人材派遣業界の闇』(講談社現代新書)を上梓したばかりの著者・中沢彰吾氏(ノンフィクションライター)にインタビュー。自民党が「規制緩和」を錦の御旗に推し進めてきた小泉・竹中路線の果て、歪んでしまった労働市場の実態をお伝えする。はたして浮き彫りになったのは、衝撃的ともいえる人材派遣の過酷な現場だった――。 1年間「日雇い派遣」をしてわかったこと ――まずは今回、人材派遣業界が内包する諸問題を明ら