刑務所の面会室。アクリル板越しに発達障害の傾向を見る検査の設問で、精神科医と臨床心理士は、その回答に目を奪われた。 「学校の前だというのに、時速60キロも出したりして一体どこへ行くつもりですか?」。白バイ警官に運転者が答える場面で、彼女は「すみません。いつもこれくらいスピード出していてもなにも言われなくて…」と書き込んだ。 「家族が病気で、とか何か弁解するのが普通。何とも無防備な答え」「不用意なひと言で、さらに窮地になることが想像できていない」。ともに数百人以上にこの検査をした経験から「自分を守ろうとする意識がまるでない答え」と口をそろえた。