もう15年くらい前になるか。 自衛隊のパイロットを夢見て何年もただそれだけを追いかけていた年下の親友が、山口の宇部空港で行われる最終試験まで行って落ちた。携帯のメッセージで不合格の連絡をもらってから、2ヶ月くらい音信不通になっていたのだが、ある日突然連絡が来て会うと、彼は意外とケロッとしていた。 お互い試験のことには触れず、今何をやっていて次に何をやる予定か、そんな事を話しながらいつものように街をぶらぶらし、やがて海の見える公園にたどり着いた。普段あんまりそんな事はしないのだけど、その日はなんとなく二人で並んで芝生に寝転び、何もせずただ空を見上げていた。 しばらく黙り込んでしまったのでどうしたのかと思って横をみると、彼は涙を流していた。そしてこう言った。 「まだこの音聞くと思い出しちゃうんすよね」 僕は気づいてすらいなかったのだが、自衛隊のものか米軍のものかは僕にはわからない戦闘機が一機、
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