平安末期の王朝文化の華やかさを伝える壮大な作品群として知られる三十三間堂の1001体の千手観音立像。はがれた金箔(きんぱく)の張り直しなど、約45年がかりの修復作業が昨年末に終了したのを機に、重要文化財から国宝に「格上げ」指定された。本坊の妙法院の杉谷義純(ぎじゅん)門主は、「すでに指定されていてもいいほどの仏像。修理を終え、仏様も喜んでおられるという印象がある」と喜びを語った。 京都府教委によると、これほどの数の仏像が一度に指定される例はない。千手観音立像は124体が平安時代、876体が鎌倉時代、1体が室町時代につくられ、仏師・運慶作とされる像も含まれる。 像高160センチ台後半で、42本の手に11面の顔という統一された形だが、「顔立ちは一つとして同じものはなく、それぞれ名前がある」と杉谷門主。「これで堂内の仏像全てが国宝になり、次の世代に伝える重責を感じる」と、歴史の重みをかみしめた。