先日、水のまち・岐阜県の郡上八幡で、城下町の趣ある町並みに、気になるものを見つけた。 格子の飾りで縁取られた白い色紙に、毛筆で歌が書かれ、民家の軒先に掲げられているのだが、なにげないまちの標語か何かだと思って見ると、その内容、思わずドキッとさせられるものなのだ。 「疑へば 切りなく 樹海深くなる」 疑いを「樹海」にたとえるほど、深いとは。長年連れ添ってきた連れ合いへの、あえて口に出さずに心にしまった疑惑だろうか。それにしても、まちに飾られた色紙にしては、深すぎる。 そんなことを思いながら、注意してみてみると、こうした歌の書かれた色紙が、まちのあちこちに貼られていることに気づく。 「郡上八幡みとくれ館」というところで、歌の公募をしたもののようで、他県からの作品もある。水のまちだけあって、多くは美しい郡上の水に関する歌なのだが、なぜかひどく物がなしい内容も多いのだ。 「まだ息を している枯葉に