先日ちょっと眠れなくて、『1973年のピンボール』(ASIN:4061831003)を枕元に持ち込んだ。そうしたら飛ばし飛ばしだが最後まで行ってしまった。いやはや。驚いたことがもう一つ。これがきわめてしっくり面白い小説だったこと。これまで以上に明白に実感。そしてさらに強く思った。こんなヘンな語り口や展開を知らん顔して押し通すことで本当に小説に仕上がっていくのか、当の村上春樹が内心不安いっぱいだったに違いないし、それでもそれと裏腹の信念を図太く保って書き切ったところにこそ、この作家の独特にして希有の文学的姿勢が存するのではないか、と。 そんな流れで手にしたものがある。 「世界は村上春樹をどう読むか」という国際シンポジウムがこの春 東大で開かれたそうで、その詳報が『文学界』6月号にある。その中の、ワークショップ2「グローバリゼーションのなかの村上文学と日本表象」を読んだのだ。 海外各国の専門家