「機会が犯罪を生む」警察への不信が自 衛化と厳罰主義の 流れに 日本における犯罪学という領域は、欧米の流れを追う傾向が強い。ここでは、犯罪を物理的にブロックして防ぐという環境犯罪学について紹介したい。 環境犯罪学は、欧米で１９７０年代ごろに生まれた。東京都では「安全・安心街づくり」という条例を制定したが、この"安全街づくり"という考え方が、まさに環境犯罪学に依拠している。 環境犯罪学の誕生は、70年代に欧米で犯罪が激増したことへの対応策という側面がある。アメリカは50〜60年代前半まで日本よりも犯罪が少ない安全で平和な国だった。それが逆転したのは60年代後半から70年代に入ってからで、それから犯罪大国の道を歩んだ。ところが90年代半ばごろから犯罪が減少傾向に転じ、現在は、アメリカの犯罪状況は落ち着いている。これは、一つには20年間にわたる環境犯罪学の取り組みの成果ともいえる。 アメリカで防犯とか安全、安
