【連載第2回:ウクライナ反転攻勢の行方】 プーチンの対ウクライナ戦略目標は、同国をロシアの「影響圏」に留める、すなわち、属国化することで一貫してきた。ウクライナのEU接近が顕著となった2013年以降、ロシアは、非軍事・軍事手段のさまざまな組み合わせでこの目標を追求した。 その意味で、ロシアが軍事占領してきた「ドンバス」と呼ばれるドネツク州やルハンスク州は手段であって目的ではない。プーチンは、これらの州に設置した傀儡の「人民共和国」をウクライナの国家体制に埋め込み、EU・NATO加盟に拒否権を発動させることで、戦略目標を達成しようと試みた。 一方、ウクライナでは、2019年にドンバス和平を掲げるヴォロディミル・ゼレンスキーが大統領に就任した。本稿では、あまり知られていない全面侵攻以前のゼレンスキー政権の対露政策の変遷、ロシア情報機関の浸透を振り返り、民主的選挙によるリーダー交代が侵略戦争に与