モスクワ市の多くの郵便局でプーチンの缶バッチが販売されており、ロシア政府は日頃から市民教育に熱心である 撮影:丹羽良徳 ▶︎ 丹羽良徳はこれまで、「共産主義」や「貨幣価値」「物や土地の所有権」などをテーマに、国内外の公共空間や政治的な場に介入し、制作を行ってきた。その作品はロシアをはじめとする国家体制に言及するものも多く、たとえば《モスクワのアパートメントでウラジーミル・レーニンを捜す》(2012)は、モスクワ市内の一般家庭を訪れ、1991年ソビエト連邦共和国が崩壊後も残されている、ソビエトの初代指導者ウラジーミル・レーニンの肖像画、写真、プロパガンダポスター、バッジなどあらゆるグッズを探し集めるものだった。 丹羽は現在ウィーン在住。モスクワで個展を開催予定であったが、2月24日、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始したことで状況は一変した。世界中の、とくに欧州の文化機関が混沌とした状況に