本連載では、一昨年まで米ビジネススクールで教鞭をとっていた筆者が、世界の経営学の知見を紹介していきます。ちなみに筆者は、11月24日に日経BP社から『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』という本を刊行しました。日本では通常知り得ない「世界最先端のビジネス知」を、日本企業への示唆を交えて事例も豊富に分かりやすく紹介していますので、ぜひ手に取っていただければと思います。 今回はそこで書き切れなかった、近年経営学で急速に研究が進んでいるテーマについて紹介します。それは「袖の下」、いわゆる「賄賂」の研究です。賄賂とまでいうと少々言葉がきついかもしれませんが、コンプライアンスやガバナンスが厳しく問われる今こそ、向き合うことが必要な議論ではないでしょうか。 中でも私が議論したいのは、新興市場でビジネスを進める上での「袖の下」です。日本企業にとって、インドなど南アジア諸国、東南アジア、中国、