さて、前回貨幣というものは皆が「他のみんなはこの貨幣を受け取るだろう」と信じてさえいればいいのであって、必ずしも金や国債といった具体的な裏付けを必要とするものではない、と書いた。貨幣発行に際して同額の国債等を保有すべし、という旧日銀法の発行保証制度が撤廃されたのはこの辺りが理由のようだ。 では、魚のホネでも貨幣になるのだから、中央銀行の負債として扱うなんて面倒くさいことする必要ないじゃん、とつい考えてしまうのだが、それでは現状ほとんど全ての中央銀行が貨幣を負債としている理由が説明しづらい。もちろん、兌換貨幣や金本位制時代の名残と言い切ってしまっても構わないのだが、惰性の一言で説明してしまうのは無理がありすぎる。というわけで、以下、貨幣が中央銀行の負債である理由を説明し、その上で現代の「貨幣の裏付け」とはなんなのかを考えて見たい。(5月20日:文末に追記) 貨幣が負債である理由 改めて前回の