われわれは他人に評価されるために生きてるので、その時代の評価基準に合わせるわけである。他人から評価されなければ、餓死したり、性交の相手がいなくなるのだから、必死になるのは当然である。だからどうしても、その時代特有のパーソナリティーというのが出来上がる。今日の社会において、温厚でなければ人間ではない。怒りは暴力であり異常性である。人類は怒りで歴史を刻んできたのだが、そういう大きな物語は用済みとなったのである。発達障害が発見されたのも、時代性の問題である。かつては怒りまくるような人間は正常であった。父親は怒鳴り散らすのが正常であった。家父長制の消滅により、激怒しやすい人間は異常者として扱われることになった。アスペルガー症候群にしても、厳格で怒りっぽい気質は家父長として問題はなかったはずだが、今日では、その易怒性が障害とされるのだ。厳格さとは、状況を無視してルールを適用することである。封建社会な