●小畑健/大場つぐみ『バクマン。』9巻(2010年集英社、400円+税、amazon) 『バクマン。』にひっかかるところはいろいろあるのですが、まあいちばんの問題は、そこに描かれてる「マンガ内マンガ」、ほんとにおもしろいのか? という点じゃないでしょうか。 「マンガ内マンガ」の絵柄とかストーリーとか全体の雰囲気はいろいろと説明されているものの、結局読者に提示される評価基準は、(1)読者アンケートで何位だったか、(2)登場人物であるマンガ家や編集者たちによる「すごい」とか「おもしろくない」とかの感想、だけなんですよね。 ここが現実のマンガ史を下敷きにした藤子A先生の『まんが道』と大きく違うところ。 『まんが道』では実際に描かれた初期藤子作品がそのままのかたちで読めますから、読者は「マンガ内マンガ」がどのようなものか直接知ることができます。 さらに『まんが道』の読者は手塚治虫作品や藤子不二雄作