2024年9月初旬にドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)がドイツ内の工場閉鎖を検討しているというニュースを耳にしたとき、筆者は、いよいよ来たるべきものが来たな、という感想を抱いた。後出しジャンケンみたいで気が引けるのだが、こういう事態に陥ることを予想していた、とまでは言わないが、こういうことが起こる可能性は十分にある、とは思っていたからだ。 2023年12月まで労使協調路線だったが… ではなぜそう思っていたのか、という理由を説明する前に、まず、なぜVWがドイツ内の工場閉鎖をするところまで追い込まれたのか、ということを考えていきたい。単純にいえば、今回のVWの工場閉鎖の目的は、コスト削減である。ドイツ国内での自動車の生産は、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーコストの上昇や、その他原材料などのインフレ、さらに人件費の高騰などでコスト競争力が低下している。 これを打破するた