日韓首脳会談はさながら李明博大統領の「独演会」だった。野田佳彦首相は大統領を実利優先の「知日派」とみて友好姿勢を示してきたが、幻想だったと思い知らされたに違いない。慰安婦問題の解決を執拗に求める大統領に紋切り型の受け答えしかできない首相。民主党政権の対韓融和路線は破綻した。 「今日は一つ申し上げたい」 大統領は会談冒頭、報道陣がいる時にあえて慰安婦問題の口火を切った。 「誠意ある措置がなければ(元慰安婦の)おばあさんが亡くなるごとに第2、第3の像が建立される。このままではおばあさんの『恨(ハン)』は解かれない」 大統領は朝鮮民族の長い歴史の中に蓄積されてきた痛恨、悲哀、怒りなどの感情を表す「恨」という言葉を持ち出し、眼光鋭く解決を迫った。大統領が首脳会談で慰安婦問題についてここまで具体的に言及したのは初めて。韓国の世論を背景に強硬姿勢に「豹変」した大統領に首相は押されっぱなしだった。 賠償