イラスト:坂谷はるか いきなりだが、日本人はなぜ遅刻に厳しいのか。仕事や人との待ち合わせには時間通りにちゃんと行く。これが多くの日本人の一般的な感覚だが、一方、諸外国では少し違うようなのだ。そのわかりやすい例が鉄道の定時。日本では新幹線が「定時に遅れる」というのは1分以上を指すが、ほかの国では1分なんて遅れたうちに入らない。『定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか』(三戸祐子/新潮文庫)によると、イタリアで「定時に遅れる」とは15分以上を意味し、英国は10分以上で、ドイツも5分以上。他国では30分以上の遅れなどめずらしくもなく、それでも乗客は悠然とホームで新聞を広げ、日本人だけがイライラしたりしているという。 なんで日本人は遅刻や時間にうるさいのか。一説には日本人の気質とか国民性ともいわれるが、じつは、日本人も初めから時間にうるさかったわけではない。『遅刻の誕生』(橋本毅彦・栗山