自閉症スペクトラム(ASD)の症状に、腸内細菌叢の変化が関わっているという可能性を初めて読んだとき、細菌叢フィーバーを反映しているだけで、いつかこの熱も冷めるのではと思っていた。ところが、あれよあれよといううちにこの分野はASD研究の重要な分野として成長しており、いまやASD児への細菌叢移植治療が行われるようになっている。 今日紹介するカリフォルニア工科大学からの論文はこの分野での実験研究の一種の集大成ともいえる話で、初めは又かと読み始めたが、読んでいるうち結構真剣になってきた。ただ、結び合わされているデータは全て統計的解析で、結果を実感できない難点は感じてしまった。タイトルは「Human Gut Microbiota from Autism Spectrum Disorder Promote Behavioral Symptoms in Mice (ASDの腸内細瑾叢はマウスの行動学的症
先日マウス自閉症モデルで見られる社会性の低下を、乳酸菌の一種ロイテリ菌が改善できること、そしてこの作用が迷走神経刺激を介したオキシトシン分泌によることを示したテキサス・ベイラー医科大学からの論文を紹介した(http://aasj.jp/news/watch/9990)。ただ、これらの結果はすべてマウスでの話なので、是非ヒトでも早く研究を進めてほしいと期待を述べた。それから何日も経ってはいないが、自閉症を健康人の便から分離してきた細菌叢を服用させて治療できる可能性を示した論文がアリゾナ州立大学から4月9日号で報告された。タイトルは「Long-term benefit of Microbiota Transfer Therapy on autism symptoms and gut microbiota (自閉症の症状と細菌叢に対する細菌叢移植治療の長期効果)」だ。 腸内細菌叢が自閉症の症状に
ASDの消化管症状2017年Autism Speaksから発表された「自閉症の健康」と題されたレポートを紹介した。その中でASDでは高頻度に慢性の消化管症状が(便秘、下痢)みられ、生活の質が著しく低下することが書かれていたが、「本当に困っており、この記事を読んで納得した」と多くのメールをいただいた。 このとき、消化管症状の原因が腸内細菌叢の異常で、治療のために健康人の便を移植する治療が始まっていることも紹介した。もちろんこの治療の主要目的は消化管症状の改善だが、消化管刺激によりASD自体の症状が悪化している可能性も高く、消化管以外の症状を改善できる可能性が期待できる。 この期待を裏付ける2編の論文が今年に入って相次いで発表されたので、自閉症の科学27として簡単に紹介しておくことにした。 ロイテリ菌の力わが国では、多くの企業が乳酸菌やビフィズス菌についてその効能を謳った宣伝を毎日繰り広げてい
人類の未来 人類の覚醒と真実 健康の真実 自閉症の子どもが生まれる決定的な要因が米バージニア大学の研究者により特定される。それは「母親の腸内細菌環境」。その予防法も初期段階ながら提起される 米国バージニア大学のニュースリリースより ・University of Virginia 母親の腸内環境が、生まれてくる子どもの健康状態を左右していた 今回は、アメリカのバージニア大学が 7月17日に発表した冒頭の「自閉症のリスクは母親の腸内の微生物の健康状態によって決定されることを発見した」ということについてお伝えしたいと思います。 現在、主要国における自閉症のお子さんの増え方は普通ではなく、下はアメリカの例となりますが、「 40年間ほどの間に 70倍も増加している」のです。 アメリカの1975年から2015年までの自閉症と診断された子どもの推移 ・autismcoach.com 日本を含む他の主要国
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