邪馬台国論争に一石を投じる著書「卑弥呼とヤマト王権」(中公選書)を今春刊行した寺沢薫・纒向(まきむく)学研究センター所長が22日、奈良県桜井市の市立図書館で講演を行った。女王・卑弥呼(ひみこ)誕生の背景を当時の国内外の状況から考察。邪馬台国の最有力候補地ともされる纒向遺跡(同市)を「新生」倭国の首都と位置づけ、卑弥呼は北部九州や吉備(岡山)を中心とする諸勢力の話し合いによってヤマト王権の初代大王に擁立されたとする自説を展開した。 寺沢所長は、江戸時代の儒学者、新井白石が邪馬台国の場所を大和国(奈良県)と主張して以来、邪馬台国の所在を巡る論争はおよそ300年の蓄積があるがいまだに決着しておらず、魏志倭人伝などの文献のみを手がかりとするアプローチには限界があると指摘。「考古学の成果を活用しながら当時の政治状況を把握し、文献との整合性を一つ一つ検証していく必要がある」と述べた。 その上で、卑弥呼