米国で原油先物の価格がマイナスとなる珍事が起きた。新型コロナウイルスの影響で経済活動が停滞し、余った原油の買い手がつかなくなったためだ。余剰分をためておく地上の貯蔵スペースが乏しくなり、関係企業が洋上の巨大タンカーを貯蔵庫代わりに使い始めた。そこで市場関係者が思い起こすのは、タンカーを借り上げ、相場上昇時に売却して巨富を築いた伝説の投機家の存在だった。 ニューヨーク原油先物相場で、指標となる米国産標準油種(WTI)がマイナス価格となったのは4月20日。週明け初日となった同日、ニューヨーク原油先物相場でWTIの5月渡しは午前中から売りが加速。前週末比55・90ドル安の1バレル=マイナス37・63ドルで取引を終え、同商品が上場した1983年以来、初めて価格がマイナスになった。 事実上、売り手が代金を支払って原油を引き取ってもらう異常事態だ。 米国で感染症対策の外出制限が広がり、航空機や自動車の
4月20日のNY原油先物市場では、受け渡し期間が最も短い期近物である5月限が、マイナス価格を形成している。取引時間中の安値は1バレル=マイナス40.32ドルであり、終値でもマイナス37.63ドルとなっている。原油先物市場の歴史上、マイナス価格の実現は初めてのことである。 NY原油先物5月限5分足 (画像出所:CMEウェブサイト) 原油には価格が付いており、通常であれば買い手が売り手に対して代金を支払うことで、原油を確保することが可能になる。例えば、4月17日終値は18.25ドルだったが、これは「買い手が保有するドル」と「売り手が保有する原油」の交換レートが、1バレル=18.25ドルだったことを意味する。では、「マイナス原油価格」はどのような状態かと言えば、売り手が買い手に対してドルと原油を渡すことで、買い手に引き取ってもらう状況になる。マイナス37.63ドルであれば、原油1バレルについて3
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