基礎生物学研究所などの共同研究グループは、キイロシリアゲアリの女王の受精嚢のみで機能する特殊な12個の遺伝子を発見することに成功した。 【こちらも】アリ社会の序列は脳内ドーパミンに制御されている―東大 社会性ハチ目昆虫、すなわちアリとハチの女王は、羽化後の限られた時期にしか交尾をしない。その間に受け取った精子は、「受精嚢」と呼ばれる器官に貯蔵され、生涯に渡って少しずつ取り出して利用され続ける。何故、そのようなことが可能なのか、その仕組みはこれまで明らかでなかった。 アリの女王は、昆虫としては極めて長寿である。種にもよるが大抵の種で10年を越え、29年という観測例もある。そしてアリの精子もまた、基本的には同じだけの長寿命性を持つ。ほとんどの動物の精子は、交尾後数時間から数日で激しい劣化を示し、当然ながら受精能力も低下する。冷凍保存でもしているならばともかく、アリの受精嚢の内部は常温である。こ