飯塚元被告の検察による求刑は法定刑の上限の禁錮7年だった。それでは軽すぎる、という不満もSNSではあったようだが、それでも法律で定められた量刑のいっぱいいっぱいだったし、そこまで求刑すれば8掛けが相場の刑事裁判でも執行猶予が付かない実刑は免れない範囲だった。それだけ実刑を求める検察側の強い意思もうかがえた。 池袋の事故では、妻子を失った夫がメディアに顔を出しては、過失を認めようとしない被告人に対する失意と悲憤が入り乱れた声を顕わにした。これに同情する庶民感情――とりわけネット世論が「上級国民」批判をより盛り上げさせた。 大手メディアも支持を得られるとあって、こぞって遺族の主張を取り上げた。それだけ遺族の声と存在が目立っていた。この世論形成が検察の求刑を後押しし、裁判長の判決後の言葉となり、そしてなにより被告人に一審判決を受け入れさせたとしても不思議ではなかった。 元東京地検特捜部長の事故の