2016年2月8日、トヨタ自動車の国内工場の完成車組み立てラインが一斉に止まった。系列サプライヤーの爆発事故に端を発する緊急事態を、どう捉えるべきなのか。サプライチェーンマネジメントの専門家である未来調達研究所取締役の坂口孝則氏が解説する。(編集部) 2016年1月8日深夜、トヨタ自動車系列の特殊鋼メーカーである愛知製鋼の知多工場で爆発事故が起きた。第2棒線圧延工場の加熱炉が爆発し、加熱炉と建屋の一部が損傷した。同工場では、エンジンや変速機に用いる棒状特殊鋼を生産していた。生産量は月7.5万トンで、同社全体の生産量の8割程度を占めていたとみられる。 誰もが知る通り、トヨタ自動車はJIT(ジャスト・イン・タイム)生産を実践しており、サプライヤーの生産システム不良は直ちに完成車生産に影響を及ぼす。それでも当初は、愛知製鋼の事故がグループ全体に及ぼす影響は小さいとみられており、トヨタ自動車は完成
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