政府の教育再生実行会議が、知識偏重の大学入試をやめて「人間力」で生徒を選ぶべきだと提言しています。面接や論文、高校の推薦書、部活動やボランティアの活動歴などから21世紀の日本を担う“グローバル人材”を選抜し、育てていくのだそうです。 ところで「人間力」とはいったい何でしょう? これは下村博文文部科学大臣が簡潔に説明しています。 ひとつは、多様な価値観や人をまとめていくリーダーシップ力。二つめは、企画力や創造力などクリエイティブ能力、そして人間的な感性や優しさ、思いやりだといいます(11月22日付『朝日新聞』)。 素晴らしい提言のようですが、こういう耳障りのいい話は疑ってかかった方が間違いありません。 そもそも、試験官が生徒の「人間力」を主観的に判断して合否を決めるのは最悪の選抜方法です。これでは不合格の烙印が、学力ではなく全人格を否定された証拠になってしまいます。学科試験の成績がよかったの