執筆者:山口智美 双風舎編集部編『バックラッシュ!なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』双風舎、2006年 掲載論文 (1)はじめに 1995年前後は、日本の女性運動にとって、重要な転換点だった。 1994年、男女共同参画審議会が作られたことで、耳慣れない「男女共同参画」という言葉が登場し、1996年には、同審議会による「男女共同参画2000年ビジョン」と「プラン」の中で「ジェンダー」という言葉が登場した。そして、「ジェンダー・フリー」という言葉も東京女性財団 によって紹介された。同年の北京の世界女性会議会議以降、「エンパワーメント」というカタカナ言葉が流行る一方、「ジェンダー」という言葉も新聞などでちらほら見かけるようになっていた。 その一方で、この時期、「フェミニズムはおわった」「ポストフェミニズム」といったような記事もよく見かけた。 当時の私は、アメリカ・ミシガン大学の大学院生であり