私には、現在公立小学校の特別支援学級に通っている自閉スペクトラム症(以下、ASD)の次女(九歳)がいる。一人でごきげんにしている手のかからない赤ちゃんだった次女が心身の発達の遅れを指摘されたのは、三歳児健診のときだった。病院や療育センターを紹介されたものの、診断がつくまでの道のりは長かった。会話が成立しにくいとはいえ、初対面の人にも積極的に近づいて話しかける人懐こい次女の姿を見て、児童精神科医も臨床発達心理士も、誰一人として〝自閉〞症の疑いを口にすることはなかったのである。 転機になったのは、たまたま目にした女の子のASDについての英文記事だった。女の子のASDは男の子とは現れ方が違うために見落とされやすい、という最新研究の紹介で挙げられていた症状が、まさに次女そっくりだったのだ。すぐに療育センターで自閉症専門医を紹介してもらい、検査を受けた。こうして小学校入学直前にして、ようやくASDと