1.大正時代の社会不安と宗教・内省ブーム ●効率重視の教養は、今に始まったことなのか? 毎月、現代を切り取るテーマを扱う雑誌『中央公論』。本書が2023年1月――つまり今年の新年号に掲げたテーマは、これだった。 特集「効率重視の教養は本物か」 インターネットが普及して以来、情報収集やコンテンツ受容のあり方は様変わりしている。SNSや動画などを駆使することで手軽に知識が得られるメリットは大きいが、他方でそこに落とし穴はないだろうか。 従来の教養とは異なる価値観の台頭について、多様な立場から考えてみたい。 (『中央公論』2023年1月) 書籍や雑誌の時代から、インターネットの時代を経て、現在「効率重視の教養」が台頭している――そのような主張をなす特集だ。 これは本連載の第一回で指摘した、読書法や速読術等の流行が示しているものとほぼ同様の現象だろう。同じく「効率重視の教養」の存在を指摘するのは、
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