プレパラートにしていたイエダニ Ornithonyssus bacoti の前若虫(protonymph)と思われる標本を少し観察してみた。室内から見つかった死骸が数個体封入されていて、それぞれ破損しているけれど体毛などは偶然にもよく残っていた。 イエダニの発育各期の形態に関しては、私はなんの知識を持たないが、この標本は成虫と共に採集されたことや、文献にある図(Evans & Till, 1966)とよく似ていることから前若虫と判断した。 イエダニの発育段階のうち、室内塵の観察程度でお目にかかれるのは、普通は前若虫と成虫だけだろう。イエダニの幼虫と後若虫については、どちらも摂食をせず、移動力にも乏しく刺激されると少し歩く程度だし、その期間も1~2日程度らしいので、そう簡単に室内塵などから見つかりそうにない。そんな幼虫と後若虫の外観は、標本を実際に見たことはないけれど、背板や胸板が見当たらな