【北京=安藤淳】尖閣諸島の領有権問題をきっかけに、中国内陸部で二週続いて発生した反日デモ。国民の不満は「言論の自由」がないことなどに向かい始め、「反日」の名を借りた中国政府批判が強まっている。 デモ参加者らは、反日スローガンを叫ぶ一方、中国の住宅価格高騰や共産党一党独裁体制への疑問も訴えている。中国当局は今後、抗議デモ封じ込めを徹底させ、中日首脳会談開催による関係改善を模索するとみられるが、「反日」が容易に「反共」に向かう中国情勢の危うさも浮き彫りにした。 四川省徳陽市で二十三日に起きたデモは、約百人の学生らが「日本製品をボイコットせよ」などと叫んでいた。デモ隊は約三十分で解散したが、この動きに触発された千人を超える市民らが道路を封鎖し、警官を取り囲むなど二時間近く緊迫感に包まれた。