大阪駅からJR環状線内回りで3駅目にあたる西九条駅と、阪神なんば線千鳥橋駅の両駅の間に、「此花朝日橋」というバス停がある。住所で言うと大阪市此花区梅香一丁目。ごく普通のありふれたバス停だが、ちょっとその後ろを振り返ると不思議な風景と出会うことができる。街中にひっそりと、しかしほどよい主張をもって佇むこの本棚。そしてその前を素通りする人たちもいれば立ち止まる人たちもチラホラ。これが本回で紹介する「わらしべ文庫」だ。 簡単に説明すると、読まなくなった本や誰かに譲りたい本を、そこにある本と交換できる仕組みをもった本棚のこと。この街に住む中島彩さんが考案し、2012年2月から始めたプロジェクト。その内容はさることながら、一体どういった背景でこのような本棚が街頭に置かれることになったのか。棚の変遷を直接紹介してもらいながら、ことの経緯をお伺いした。 本のわらしべ交換ワールドへ まずは、わらしべ文庫の