地下鉄サリン事件の実行犯の中で、ただ一人、極刑を免れた林郁夫が自らの生い立ちとオウムに入信した経緯、出家したあとのオウムでの日々をつづった本。 林郁夫は医者の父親と薬剤師の母親の間に生まれ、慶應義塾中等部、高等部を経て慶應大学の医学部に進み医者になる。専門は心臓血管外科で、将来を嘱望されていた文句なしの超エリートだ。 オウムには高学歴の人が多いけれど、林郁夫のように社会人としてのキャリアも積んでいる人はそれほど多くはない。 「生まれつき環境にも能力にも恵まれて、トントン拍子でエリート街道を歩んで華々しいキャリアを積んできた。周りの人たちから信頼され敬意を払われ、お金もあり、家庭も持って、将来はバラ色。もうこれ以上望むものなどなさそうな人がなぜオウムに??」 その疑問の答えを知りたくて、この本を手にとった。 林がオウムに入信したきっかけは、医者としてガン患者などと接するうちに、「いくら力を尽