ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連本を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「本を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2019年1月号より転載。 11月に発売された百田尚樹『日本国紀』が話題である。 〈当代一のストーリーテラーが、平成最後の年に送り出す、日本通史の決定版!〉という麗々しいキャッチコピー。おまけに書店という書店には、もっか、この本が山積みだ。 となれば、読むっきゃないでしょう。なにしろ著者は安倍晋三応援団にして、『永遠の0』(2006年)や『海賊とよばれた男』(2012年)で知られるベストセラー作家。なおかつ「沖縄の二つの新聞社は潰さなあかん」(2015年6月25日。自民党の勉強会「文化芸術懇話会」での発言)とか、「朝日新聞は日本の敵だが、そんな売国新聞を支えている朝日
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