この記事は「nikkei BPnet」に2016年9月5日に掲載された「AI開発レースで日本が生き残るためには?」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。 前回の対談で、日本のAI研究の黎明期、若き研究者たちはどのようにして“知能”の謎に迫ろうとしたか、そして、日本のAIはどのようなプロセスで発展してきたのかについて回想したふたりは、最終回となる今回、これから日本はどんなAIの研究開発に取り組くべきか、日本のAIに勝算はあるのかについて、語り合いました。 IT化の障壁は想像力の欠如 ――ITはずいぶん前から社会に浸透してきましたが、なぜAIは、最近まであまり話題にならなかったのでしょうか? 中島秀之氏(以下、中島): 世間一般では、AIとITがまったく別のもののようにとらえられているようですが、AIの技術はITを通して世間とつながっているのです。企業の開発者や研究畑に